One Touch Freak

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仮:白いかかし 0012 途中


川崎競馬場は パドックのスグ隣に室内型の喫煙場が設けられている。
あたりも暗くなったメインレース前、
二人の男は エンジンのかかってない白い軽トラから ここに場所を移していた。

鎌倉記念
今日の川崎のメインは 数か月前にデビューした2歳馬ばかりの重賞レースで
北海道(関東以外)からも数頭出走している。

『お客さん、わりと入ってるねえ』

『まあ、わりとね』

『で、その人のウマ、何て名前なの?』

『オウマノトキ だったわ たしか』
誌面上には 黒三角と白三角がいくつかずつ打たれている。

『これで、勝負になる?』

『じゃないと、わざわざ北海道から来ないんじゃないかなあ.....』
とは言いつつも さっきまで目を赤くしていた男は
二重丸、丸の類を ほぼ独占してる馬の存在がだいぶ気になってる様子。

『ちなみに、いまからはじまる この9レースは どれが勝ちそうなの?』

『まったくわからない....』
キッパリとそう言い終える前に、目を赤くしていた男のケイタイが着信した。

『あ、お疲れ様です。パドックにいます........』
どうやら客人がようやく到着したらしい。

『行こう』
二人の男は、室内型の喫煙場を出て、目の前のパドックに向かった。
9レースの発走を前にして、パドック周辺からは一気に人影がなくなっている。

『おつかれさん』
頃あいをみはからったようにスーツ姿の男があらわれた。

『あ、お疲れ様です』
目を赤くしていた男の様子を見るかぎり、彼が北海道からの客人らしい。

『この人が、いつも言ってる人?』

『はじめまして。小田谷です、よろしくお願いします。』

『ああ、虻田です。よろしく』
にいちゃんは本名:小田谷という。

『で、必要なモノはまとめといてくれてるんでしょ?』

『はい。封筒の中に一式まとめてあるんで 目通してもらえれば』
目を赤くしていた男は 完全にシラフ・モードにきりかわってる。

『ごめんねえ。オヤジ、先生なんかにあおられちゃってさあ、圧倒的にいつもとテンション違うから。ホント馬主が一番イレ込んでるからねえ。また今度! たぶん12月にまたここ来ると思うから』
12月には ここ(川崎)で 2歳馬の全国大会がある。

『わかりました。それじゃ、12月は絶対ですね』

『うん、うん。なんか、7,8番人気みたいだから、馬券買っといた方がイイよ』

『この時期の、このバレてない感じ。アツいですね』
結果、オウマノトキは2着に6番人気の馬をつれて 見事に勝ちきった。
二人の男揃っての ザツな1~8番人気の7点買いx2にしては、あまりある馬連:43倍だった。


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  1. 2017/01/10(火) 12:41:39|
  2. 仮:白いかかし
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仮:白いかかし 0011 途中


走路脇、2コーナーを曲がって少しいったところにある大スクリーンには
十頭前後の馬の走る姿が映されている。
かるくイイ気持ちになった二人の男は
目の前を通り過ぎていく馬郡を眺めながら
まるで、自分の身内が運動会で駆けっこしている姿を見守っている様な表情をしている。

『養老牧場に スポーツ流鏑馬ができる乗馬コーナーつき でいこうと思ってるんだよね』
目を赤くした男は 完全にふいをつくカタチで無言の空気の中に 何の脈絡も無い言葉をのせた。

『はっ? 何それ』

『いやあ、だから古民家にさあ、、、馬乗ってると走らせたくなるじゃん、どうしたって、、、』
赤い瞳は気持ち良さそうに笑ってる。

『だって ”ピークを過ぎた馬を預かったりできるから” ってことで とりあえず相手してもらえる事になったんでしょ?』

『いやあさあ、あの辺は毎年大がかりな流鏑馬やっててさあ、けっこう人集まんのよ』

『それは知ってるけど、”スポーツ”って、何?流行らせたいの?』

『いやあ、ただのノリ。ははは。。。フェイスブックで見たんだけどさあ ”スポーツ流鏑馬”の本なんかも出てるんでしょ??』

『何だよ、それェ。養老牧場だって TVでやってるドラマ見ながらだったんでしょ?』

『ていうか、世の中ノリだからさあ』
瓶ビールに貼られたカンナビスのラベルが その言葉の説得力を増す。

『怖いんだよなあ、そういう事言ってると。ホントにノってくるからさあ』

『ああ、あの、にぎやかな人でしょ?色んなところにいるよね、ホント』

『ていうか、絶対に、オレが責任押しつけられる流れじゃん。オレ、素人だからね』

『でも、にぎやかな人もそう言ったら、やるしかないでしょ?』
にいちゃんは何も言えなかった。

『まあさ、ある程度興味もってくれれば、どうにでもなるし。実際、こっちの方でそういうの探してるみたいだったからさ』
赤い目をした男が手にした封筒の中身は、決して薄くはなかった。


  1. 2016/12/27(火) 21:56:24|
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仮:白いかかし 0010 途中

翌日
白い軽トラックは川崎競馬場の内馬場に停まっていた。
二人の男はエンジンがかかっていない車内で 瓶ビールを片手に何やら談笑している。

『これ、ドイツ産でしょ? やっぱ国産のはないよねえ? 北海道産とか、くくくく.....』

『いやあ、ちょっと前までは埼玉なんかでも造ってたって言ってたよ』

『マジで?』
にいちゃんの隣に座った男が手にしている 元町でまとめ買いしてきた瓶ビールには カンナビスのラベルが貼ってある。

『それより、目、まっ赤っかだわ』

『ケツマクの血管が広がりまくってるからね。なんともないから』
男は真っ赤な目をして終始かすかに笑っていた。

『来年も行くの、北海道?』

『たぶんね。ホントに生えまくってるからさ』
男は瓶ビールのラベルを指さした。

『今年はもうシーズンオフですか....』

『オレと同じで寒い冬を越せないから』
真っ赤な目をした男は かすかに笑顔で手にした瓶を見つめてる。

『冬がキツくなかったら100%完全移住する?』

『それはどうだろうね?正直、言うほど楽園みたいな所じゃないと思うよ』
真っ赤な目の表情から 急に笑顔が消えた。

『そりゃそうだろうけどさあ....』

『まあ、ジャンル問わず、これだとかの恩恵にあずかってる部分が少なくないって事だよね、たぶん』
男は、あまり言いたくなかった様な事を 小さな声でボソっと吐きすて、2本目の瓶をあけた。

『それよりさあ、、、』
男は栓を開けながら続ける

『何?』

『医療大麻裁判の人って、横浜でシェフやってたんでしょ?』

『ああ、そうそう。いくつか店舗があるフレンチの料理長さんだったんだって』

『いやあ、、、まあ、メッセージだよね。きっと』

『ああ、、、』
エンジンを切った軽トラックの中で、しばらく無言の時間が流れた。

『オレなんか、あんまり良く知らないからさあ、腫瘍のマーカーが20分の1くらいに減りましたって聞いた時は マジで”いきおいで治るかも”って思ったから』

『ホント、”ちきしょお” だよなあ、、、』
にいちゃんは故人を忍ぶ様に瓶ビールを飲み干した。

『で、あの参議院選挙の後は何もないんだっけ?』

『首相の奥さんが公言してるよ。地元の大学かなんかで、教授と足並みあわせて活動してるらしい』

『へええ。まあ...』

『あ、それ以上言わなくてイイから』
にいちゃんも2本目をあけた。

『でもさあ、リスボン宣言って言ったって、オレなんか、ポルトガルっていっても C・ロナウドしか思い浮かばないよ』
男は 元町からここまで来る途中、車内で話していた 医療関係者の国際的な共同声明のことを言っている。

『はははは。でも、ポルトガルって何でも解禁にしてるんだってよ』

『”何でも解禁”って 緑の葉っぱから 白い粉の類まで?』

『そうそう。で、白い粉の類が原因で起きる事件が減ったって言って、政策モデルとかにされてるらしい』

『マジで!? だから、ロナウドはやくマンU辞めたがってたの?』

『知らないけど。。。ていうかさあ、何時頃来るって言ってるんだっけ?』

『メインレースに馬が出るからってことだからさあ。まあ、あと、3,4時間だわ』

『完全に出来上がるわ』
軽トラックの外では ようやく1レースのファンファーレが流れはじめた。




  1. 2016/12/22(木) 00:06:27|
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仮:白いかかし 0009 途中


『そういえば、見たよ、イスラエルの動画とか』
女性は、入居者に医療大麻を提供して生活全般において効果をあげている イスラエルの老人施設を you-tubeで見たらしい。

『クッキーいけそうでしょ?』
にいちゃんは 二人が横たわる部屋から大きな紙袋を持ってこようとしている。

『わたしはチョコレートの方がイイかな。ていうか、それ、全部置いてってくれるんじゃないの?』

『ごめん、今回はかなり需要過多でさ』

『なにそれ、ムリだって。抑えきれないよホント。病院つれてくしかないから』

『ねえ。病院いって何とかなるんだったら、それがイイよホントに』

『まあ、フツーに帰されて、何もされない可能性もあるけど....』
女性の声はデクレッシェンドに、、、議論は即収束した。

『やっぱ、合法化しかないよね?』

『うう、、、まあ、そうかな』
女性は両手を腰にあて、床に視線を下している。

『安くて美味しい白米がほぼ無限にあるのに、それを法律で禁止して、生きていくにはこの麦米を食べるしかないって言って、白米をはるかにしのぐ高値で売りつける。そんな社会だよ』

『しかも、その麦米マズイんでしょ。ふふふ...』
再びクレッシェンド。

『麦米が築いたエア経済もさあ、だいぶ前に機能不全気味に落ち入ってるのに、それでもグルーヴだけでどうにかノりきろうとするからね』

『ていうか、経済なんてそんなモノだから』

『そうそう。A君が”500円”て言って、B君が”600円”てかぶせて。また、A君が”700円”て言って、そこにB君が”800円”ってかぶせて。頃合い見はからいながら考えてるフリして、そこにホントにどうしようか考えてたC君が ”じゃ、じゃあ、900円” て。。。 A君もB君も”どうぞどうぞ”だよね』

『ははは。神の領域にたどりついた伝説の芸だね』

『そんで、A君とB君は ”テメー、350円で売ろうとしてたんだからオレ達のおかげだろ”って言ってさあ』

『どーせ、となりのとなり町じゃ、100円でもっとイイのが売ってるってオチでしょ』

『流石、わかってるねえ、ネエさん』

『で、A君とB君はひそかに闇で白米売りはじめるんだよ、きっと』
にいちゃんは笑いながら、うっぷんを発散するかの如くひとしきり語り終えた女性を横目に、大きな紙袋を助手席に置いて軽トラのエンジンをかけた。

『とりあえず、ある程度置いといたから何とかがんばって。できるだけ早くくるから』

『でさあ、、、あたし、いつかむくわれるんだよねェ.....絶対に』

『ふふふ...』
にいちゃんは ただ不敵な笑みを浮かべただけで 再び白い軽トラを走らせた。




  1. 2016/12/20(火) 23:56:42|
  2. 仮:白いかかし
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仮:白いかかし 0008 途中

にいちゃんが運転する軽トラックは高速道路を一時間チョット程走ってからICを降りた。さしづめ雑音の交響曲かの如く、気分が悪くなるくらい色んな音が混在する軽トラックは、速度80km/時以上など出したくても出ない。

『大丈夫ですか、ホントに?』
料金所の職員は ホントに心配そうに おつりを手渡しているが

『ふふふ...』
にいちゃんは ただ不敵な笑みを浮かべただけで料金所を通過していった。白い軽トラックの雑音交響曲は にいちゃんのコンダクトで 再び緑の中鳴り響く。決して”山奥の秘境”とまではいかないものの サイズだけを語るなら その周辺こにたたずむ民家はことごとくデカイ。にいちゃんの一人車窓からは その後もしばらく続いたが、やがて軽トラックの雑音交響曲がフィナーレをむかえると、車窓は閉められた。

『こんにちわ』
にいちゃんの声が屋敷の敷地中に響く。

『こ ん に ち わ』
声量を上げて もう一度叫ぶと 奥からかけ足の音が近づいてきた。

『やっと来たぁ。おそいよホントを。ケイイチさんまた苦しそうにしてるからあ、ほら、早くっ』
奥から現れた女性は そう言うなり、また奥へ駆けていった。

『はいはいはい、、、』
にいちゃんは玄関で長靴を脱ぐなり、大きな紙袋を一つ持って奥へむかった。

『ケイイチさん、もう大丈夫だからね』
部屋に戻ってきた女性は 柵のついたベッドに横たわるケイイチさんと呼ばれる男性の手を取り、明らかに辛そうにしている彼に継続して声をかけながら、その表情を見つめていた。数歩分先には 同じくただ柵のついたベッドに横たわる老婆が、何も言葉を発しないままその様子を見守っている。

『ケイイチさん、きたよ』
奥の部屋にやって来たにいちゃんは 入口のわきに置いてあったパイプを手に取り 手にした大きな紙袋から 真空気味にパックされたビニール状の袋を取りだすと 中に入っていた緑をパイプにまぶし ライターで火をつけた。

『はい、これ吸って』
女性に上半身を起こされたケイイチさんは、苦痛に表情を歪めつつ わずかに震えながら にいちゃんに差し出されたパイプを吸いだした。

『もう大丈夫だから。ゆっくり吸って』
にいちゃんは燃焼の具合いを見ながら、ちょいちょいライターの火で緑をあぶっていく。

『ゴホっ、ゴホっ....』
軽く咳込むケイイチさんの表情からは次第に苦痛が消え、手の震えもなくなっていた。

『あ~....』
ケイイチさんは 小さく息を吐くように声を出すと 呼吸を落ち着け またパイプをよこす様に手を差し出した。
ほんの数分前までが嘘の様だ。

『ヤスエさんにも』
ベッドに横たわりケイイチさんの様子を見守っていた老婆も、からだを起こされてパイプを吸いはじめた。

『ヤスエさん 今日もご飯が美味しそうだねえ』
からだを支える女性にそう語りかけられると ヤスエさんと呼ばれる老婆はわずかに微笑んでる様に見える。

『わたしも もらうよ』
ヤスエさんを横にすると、それまで老婆を支えていた女性は ポケットから出したライターで 至極おもむろに 日常の如く手つきで緑をあぶりはじめた。斜陽が差し込む民家の一室の中を白い煙が舞い、なにかが焦げた様なにおいでみたされていく。

『ホントに ここ老人ホームにするの?』
やっと一息つけた女性は いったん落ち着いた様子で にいちゃんに問いかけた。

『まあ、て言うか、お年寄りがたくさん寝起きする古民家ね』

『はははは。ただ、空いてる部屋にベッド置いて、一家所に集めるだけでしょ?』

『そうするしかなくない?』

『まあ、暴れると思うけど、方々』

『だから、ね、大きく深呼吸して、落ち着いて考えてさ』
にいちゃんもパイプを手に取った。

『ここら辺は だいぶ前から そんな感じだよ』
女性は 煙と戯れるにいちゃんを見ながらそう言った。





  1. 2016/12/19(月) 22:56:21|
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