One Touch Freak

Something in your 24-hours, for Quality of life. 毎日の生活の中から豊かになるきっかけを.

トオルちゃん 003

『蒲田着いたけど』。

『ああ、悪りぃ悪りぃ。あと5分くらいで着くから待ってて』。
軽い渋滞に巻き込まれたということもあったが、案の定六時には間に合わなかった。

『さっき7時に予約入ったからさぁ、このまま行っちゃうわ』。
蒲田駅西口でチサトを拾いその足でどこにも寄らずに予約場所の六郷土手駅付近へ向かう。助手席に座ったチサトは手鏡を片手に化粧具合を気にしているだけで何も話そうとせず、たまらなくなってトオルちゃんの方から話を切り出した。

『金大丈夫なの?』。

『とりあえず、アコムかプロミスで借りて何とかする』。

『あ、そう。親は?』。

『デリヘルやってる友達が、、、って説明できるわけないじゃん』。

『あ、そうだな。ていうか、そもそもお前何でそんなに金持ってないの?昼間働いてんのに』。

『マンション買うためにお金貯めてるの。ずるずるいっちゃいそうだから、できるだけ毎月の計画狂わせたくないし』。
チサトは充血した目でハンドルを握りながら、づけづけと聞いてくる男をつき放すように言った。

『マンション買うって、だったらフツーにどっかの男と結婚すりゃイイんじゃねぇの?』。
   
『うるさいなぁ、あたしは男なんて信用してないの』。    
夜中に惨憺たる男の実態を数多く目の当たりにしている彼女の言葉は説得力に満ちている。

『へぇ、じゃあ、金持ってないわけじゃねぇんだなぁ』。

『ホントにお金が無かったら昼の仕事辞めて毎日ここでお世話になるよ』。

『まあ、そうだな。じゃあ、借金返してもらうのやめっか?』。

『えええ、何とかしてくれるんじゃないの?』。
チサトのリアクションは早かった。

『何だよ、お前。わかったよ、やるよやるから』。

『お金全部取り返せたら5万円あげるから』。

『マジで!?』。
気がつくと完全にチサトの手のひらで転がされている。どうやら計画性という意味で、彼は彼女の足元にも及ばない様だ。

『おお、あのマンションだな』。
そうこうしているウチに六郷土手の駅から京浜東北線の線路を渡ってスグの場所にある客のマンションに到着した。

『行こ』。
ハザードをつけ車を停めるなり彼女の方が先に車を降りた。

『お前、今日気合い入り過ぎだって。客が引くだろォ』。

『はいはい、わかったわかった』。
オートロックのマンションは決して新しい感じではなかったものの、インターホンの感度は良く予約客はすぐに入り口の自動ドアを開けてくれた。客の部屋は4階。流石に階段で上がるのはしんどいのでエレベーターを使って上へあがる。

『どうも』。
自分の名前も店の名前も名乗らずに部屋のチャイムを鳴らすと待ちかねていた客がスグに戸を開けた。

『お、おお、どうぞ』。
いの一番でチサトの容姿を確かめた客はすぐさま彼女を部屋の中へ招き入れようとする。

『すいません。前払い制なんで。80分コースですから、18,000円です』。

『え、はじめてのお客様は2,000円割引なんでしょ?』。

『あ、そうですね、、、。じゃあ、16,000円です』。
客から満年サイトでうたっている割引きキャンペーンのことを突っ込まれるのは久しぶりだった。

『ありがとうございます。それじゃ、失礼いたしますので』。
料金をもらってしまえばトラブルが起こらない限り約80分間、彼女から電話がかかってくるのをひたすら待つしかない。週末であれば女の子を2人、3人乗せて客先をまわっていればあっという間に時間が経つのだが、平日の今日は圧倒的に手持ち無沙汰にしている時間が多くなりそうだ。

『くわぁ、、、』。
多摩川沿いの野球場を一望できる場所に車を停めシートを倒すと、瞬時に睡魔が襲ってくる。


『はっ』。
いまさっき、ひげづら店長の店で登録した電話番号のことを思い出した。

『ええっと、、、』。
スグに登録したデータを呼び出すと、登録したてのパンプキンの電話番号が携帯の画面に表示されたので、とりあえずまた電話をけてみることにした。

『はい、お電話ありがとうございます。パンプキンです』。

『おっ、出た』。
今度はハキハキした声の男がスグに電話に出たので思わず面食らってしまった。

『あ、あの、、、広告を見たんですけど』。

『はい、ありがとうございます。お客様、当店ははじめてていらっしゃいますか?』。

『あ、はい』。

『わかりました。当店のサイトはご覧いただいてますか?』。

『あ、はい。ちょっとだけ』。

『女の子はお決まりでしょうか?』。

『え、、、』。
と言われても女の子のほとんどが手で顔を隠していたし、そもそも一人一人の名前を覚えてるワケがない。

『あの、すいません。キャッチが入っちゃったので、またかけなおしてもイイですか?』。

『あ、はい。またよろしくお願いします』。
電話の向こうの男は最後までハキハキした声で丁寧に応対していた。

『電話出たなぁ、、、』。
そう言えば、チサトが金を貸していた友達の名前を聞いていない。どちらにしても彼女が一仕事終えるまで大人しくしてるしか無さそうだ。
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  1. 2014/12/28(日) 22:12:42|
  2. ◆トオルちゃん
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