One Touch Freak

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トオルちゃん 005

二人を乗せた車は環八通りに乗って夜の街中を次の客が待つ等々力方面へ向かって進んでいく。恋人でもなく友達でもない二人は同僚というワケでもない。二人は夜中に車内で二人きりになっても、互いに相手をどう意識するワケでもなく、狭い空間の中で相手の領域を侵さずにそれぞれのプライベートを確立している。

「あ、そう言えばさぁ」
また、何か思い出したトオルちゃんが、何か言いだした。

「お前が金貸してる二人って、何て名前で店に出てんの?」

「ええ、何だったっけえ...」

「パンプキンって店は見つけられたけど、名前くらい分かんないと探しようがないからねえ」

「そうだよね。何って言ってたっけなあ」

「店のサイトに女の子達の写真出てるけど、みんな手で顔隠してるし、どうせ半分くらいが実在しないおねーちゃんだったり、手加えられちゃったりしてんだろうからさあ」
その点、彼らの店のサイトでは100%実在する嬢の写真を使っている。ただ、在籍する嬢の数が少なく大型店と比べると、いかんせん見劣りしてしまうが。

「その二人、デリヘル嬢的にはどうなの?イケてんの?」

「ああ、二人ともけっこう人気あるみたいよ。かわいいし、スタイルいいし、巨乳だからね」

「マジか?Dクラス、Eクラス?」

「それくらいじゃない」

「あの、すいません、私がその貸金債権買い取らせていただきましょうか?」

「何言ってんの?バカじゃないの」

「何言ってんのって、お前、20万円返ってくるんだよ?」

「あ、そうか。じゃあ、イイよ」
早い。というか。。。

「ていうか、そんなお金無いでしょ、どうせ?」
彼が核心をつかれた時には、二人を乗せた車は次の客が待つマンションの前に到着していた。このマンションの前面道路は道幅が広く、脇に寄せてそのまま車を停めておくことができる。

トオルちゃんは、いつもの通りチサトを客先へ連れて行き、前払いの代金を受け取った後、すぐに車内へ戻りスマートホンをいじりはじめた。

「おお、あったあった」
彼が見ているのは、昼間、雀荘を出た後に立ち寄った店で教えてもらった掲示板サイト。各種、風俗店別にカテゴリ分けされたページでは、ワリと早くパンプキンについてのページが見つかった。

「●●ちゃんの△△△、マジで神レベル」

「お前ら□□□の■■■■、死ぬまでに一度は経験しておいた方がイイぞ」

2,3分おきに新しい書き込みがされている日もあり、一見かなりの人気店の様に見えるが。どの書き込みも取るに足らない内容で何の手がかりにもならない。しばらく思案した結果、DVD屋の店長:やっさんに電話して何か良い方法は無いか聞いてみることにした。

「ああ、その掲示板のはほとんどサクラの書き込みだからさあ」
蛇の道は蛇とはにこういう事を言うのかもしれない。

「リアルな口コミを追求するんだったら、ピンク24っていうサイトがイイよ。知り合いがやってるサイトなんだけど、このサイトは毎日書き込みの内容チェックしてるからさあ」
まさに蛇の道は蛇。彼もまた早い。

「やっさん、ありがとう。今度、さっき言ってた川崎の店連れて行ってよ」
具体的な日程の話になる前に上手に電話を切ったトオルちゃんは、教えてもらったサイト:ピンク24を検索しはじめた。そのサイトはわりとすぐに見つかり、パンプキンについて書き込みがされているページもまたすぐに探し出せた。今度は日付の新しい書き込みから読んでいくことにする。

「ああ、いつになったらユナちゃんに会えるんだろう?」

「何で最近ユナ出勤してないんだろう?」

「ユナちんがどの店に移ったか知ってる人。お願いします、教えてください。ユナちんに会いたい、会いたい、、、」
この掲示板では、一ヶ月くらい前からユナというデリヘル嬢に関する書き込みが目立ちはじめている。パンプキンが独自で運営している店のサイトを確認してみたが、ユナという嬢の紹介や写真は一切見当たらなかったので、今度は検索サイトでパンプキン/デリヘル/ユナと入力して探してみると、検索結果1ページ目の最下段に表示された風俗情報サイトでユナという嬢の写真を発見した。

「このコか」
よく注意して見てみると、男から好かれる顔だちをしており、スタイルも良く、胸も大きい。

「かわいいし、スタイルいいし、巨乳で、けっこう人気のあるデリヘル嬢」
いまさっきチサトが言っていた、連絡が取れなくなっている嬢の特徴にぴったり当てはまる様にも思えた。

嬢の目星がついたのであれば、直接聞いてみる方法が再浮上してくる。ネットの画面を閉じたトオルちゃんはDVD屋で記録したパンプキンの番号を呼び出し、もう一度店に電話をかけてみることにした。

「はい、お電話ありがとうございます。パンプキンです」
ハキハキした声の男が電話に出た。おそらく数時間前に出たのと同じ男だ。

「あの、すいません、、、。ユナさんなんですけど」

「ああ、はい、ユナですか」

「ユナさん、お店やめちゃったんですか?」

「そうなんですよ。申し訳ありません。ただ、他にもいいコが,,,」

「いま、どこにいるか教えてもらえないですか?」
トオルちゃんは話をそらされる前に、電話の向こうの男の言葉をさえぎる様にして質問を続ける。

「申し訳ございません、それはできません」

「実は僕、彼女にお金貸してるんですよ」

「ええ、そう言われましても」

「彼女、電話も通じないし、他に連絡を取る手段がないので。せめて協力してもらえないですか?」

「申し訳ございません。彼女が誰にいくらお金を借りているかはウチのお店とまったく関係の無いことなので」
おっしゃる通り。ただ、これで少なくとも、以前パンプキンに在籍していたユナという嬢が、つい最近この店を辞め、現在消息不明になっている事が確認できた。電話を切った後、スマホに保存したユナ嬢の写真を見返していると、突然、助手席の扉が開いた。

「お疲れ」
六郷土手の客先から帰ってきた時とまったく同じ調子でチサトが助手席についた。

「あのさあ、お前が金貸したコって、このコ?」

「あ~、そうそう、このコだよ。どうやって探したの?」

「店にはユナって名前で出てたみたいだけど、本当の名前は何ていうの?」

「あ、そう、ユナだ、そうだそうだ。アタシらはリョウコって呼んでたけどね」

「上の名前は?」

「たしか、エンドウだったと思うよ」
数週間前から消息不明になっている20代女性の名前はエンドウリョコ。気がつけば車に乗ってからあっという間に6時間以上が経過し、日付がかわっている。いつも以上にややこしい事が立て込んでいるせいか、いつも以上に瞬く間に時間が経過していく。
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  1. 2015/01/01(木) 09:20:20|
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